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お悩み7.物盗られ妄想のため困惑

認知症の義母に、「嫁にお金を盗られた!」と、犯人扱いされて落ち込んでいます。これまで、義母の世話を何とかやってきましたが、そんな事を言われて、これまで通り接する自信がなくなってしまいました。どうしたら良いでしょうか?

[お悩み事例]
義母の介護を始めて5年になります。主人は仕事のため、日中はほとんど私と義母、二人だけの生活です。

最近、義母がタンスにしまってあった財布がなくなっている、と言い出しました。私はそんな物見たことがなかったので、「お義母さん、財布なんて最初からありませんでしたよ。」と伝えると、「いや、あった。誰かに盗られたんだ。」と、わめきだしてしまいました。落ち着くまで放っておいたのですが、主人が帰宅すると、「あの女にお金を盗られた。」と、私が義母の財布を盗ったというのです。

義母には元々お金を渡していなかったので、主人も義母の話しは信じませんでしたが、犯人扱いされてとてもショックです。これまで通り、義母の世話をやっていけるのか、自信がなくなってしまいました。どうしたら良いでしょうか?

解説

あなたは本当によくお義母様のお世話をしてこられたのですね。というのも、認知症の方は、よく世話をしてくれる介護者に対して最もひどい症状を示して、時々会う人にはしっかりした言動をする、というのが特徴だからです。

でも、あなたはとてもよく頑張っているのに、そんな言われ方をされたら、気持ちの良いものではありませんよね。お義母様の言動は、あくまでも、病気がそう言わせている、という認識をしっかり持って、真に受けないことが大切です。

ただ、お義母様が、一度、「お財布がなくなった。」と思いだしたら、元々存在しないものであっても、それはお義母様にとっての、“絶対的な真実”なのです。それを否定してしまうと、そのこだわりは、さらに強くなってしまう、というのも認知症の特徴のひとつです。

ですので、あるはずのない財布がなくなった、と言われても否定せず、「一緒にさがしましょうね。」と伝え、一通り探したら、「少し疲れたので、お茶にしましょうか。美味しいお菓子を頂いたんですよ。」と、他のことに興味を持たせるようにしてみたらいかがでしょうか。お義母様の思いこみをいったん受け入れてから、結論を別の方向に持っていく方が、本人の納得を得やすいのです。


解説者の経歴: 鶴田 美樹 (Tsuruta Miki)

大学在学中、福祉を専攻。卒業後、医療・福祉に特化した人材派遣会社に就職。いち介護スタッフとして、数々の老人系施設に派遣され、介護現場(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ディサービス、訪問介護など)を経験。
たくさんのお年寄り(ご入居者)やそのご家族と接し、様々な生き方、想いに触れる。

5年間の現場経験後、自社運営の認知症グループホームの施設開設準備室に異動。行政対応、現場スタッフ採用、入居者募集などを行う。グループホーム開設後は、介護リーダーを務め、スタッフ育成をはじめ、ご家族対応や入居相談業務を行う。

介護現場での勤務の傍ら、会社本部の教育研修部のアシスタントマネージャーの役職を担う。現場経験の少ないスタッフや社員のスキルアップやメンタルフォローなど約3年間行う。
【保有資格:認知症ケア専門士、社会福祉士、介護福祉士】

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